Associative memory and symptoms of Asperger’s
syndrome
アスペルガー症候群と連想記憶
序文
精神物理学の完全なる第一巻は別途公開するとこととして、その中から抜粋したアスペルガー症候群と連想記憶を公開したものが本書となります。
科学的知見にもとづき仮説をたて構築したものが精神物理学で、大いなる仮説の集合体であり、事実と一致するかどうかの判断は保証いたしかねる所存であります。
英文はアスペルガー症候群と連想記憶の全部でありますが、日本文のすべてを含んでおりませんことを断わっておきます。
連想記憶とアスペルガー症候群の症状
イントロダクション
アスペルガー症候群では、連想性をつかさどる連想記憶の機能が、通常より劣るという仮説を立ててみた。このために特有の症状が発生すると考えることができる。その根拠となる症状と連想記憶について以下に考察する。
本文
記憶にはエピソード記憶と意味記憶という分類があるが、連想記憶にはエピソード記憶として記銘する機能を持っていると考えられる。
連想記憶はひとつの記憶から、関連する記憶を芋づる式に想起する。ある図画において、全体を記憶していた場合。連想記憶ではその図画の断片のみを見ただけで、連想により記憶が想起され、全体像を思い浮かべることができる。
エピソード記憶はその体験した出来事に関連する記憶がネットワークでつながっている。過去に体験したエピソードを思い出すとき、ある記憶の断片からそれに関連づけられた記憶が次々に蘇る。このように、関連する記憶がネットワークでつながり、記憶の断片から、全体を想起できるのがエピソード記憶である。このことから、エピソード記憶は連想記憶の機能により成り立っているようにみえる。
また、エピソード記憶に対して、意味記憶がある。意味記憶では言葉の意味そのもの以外の具体的な記憶は捨てられて残らない。ある単語をいつ、どこで、どうやって覚えたかなどのエピソードは、意味記憶においては保存されない。記憶と記憶がネットワークを構築しているといえない。このことから、意味記憶は連想記憶の機能とは別の機能で働いていると考えられる。コンピュータが入力された情報をそのままの形で直接記憶することに似ているので、連想記憶に対し、直接記憶とここで呼ぶことにする。
意味記憶は子供のとき優位である記憶であり、年齢を重ねるごとにエピソード記憶が優位になることは知られている。また、丸暗記は子供が得意であり、大人になるとそれが苦手になる。
アスペルガー症候群の人の中にサバン症候群がみられる。記憶や計算の能力がなみはずれて優れている。
その記憶の仕方は意味記憶であるといえるだろう。膨大な量の電話番号を正確に記憶した入りする能力は、理解を伴う記憶ではなく丸暗記だといえる。子供が掛け算の九九を暗記するより、大人がそれを暗記する方がはるかに難しいだろう。
これらのことから、いわゆる丸暗記は意味記憶として記銘されるということができる。
連想記憶と直接記憶は片方が優れていると、もう一方が劣る、という証拠はない。しかし、アスペルガー症候群では直接記憶が優れており、連想記憶が劣っている、という仮説でその症状が説明できると考えられる。
記憶や計算はコンピュータが得意とするものである。逆に、抽象的理解は現代のコンピュータには苦手である。アスペルガー症候群の人は抽象的理解が苦手である。
写実画と抽象画の違いから抽象的理解と連想記憶の関係が推測される。
ライオンの写真(写実画)を観て、マンガやぬいぐるみのライオンの絵を描くとする。実物を強調し変形(ディフォルメ)したものが抽象画である。
抽象画や大雑把な絵をみて何を表しているかは連想があって初めて理解できる。特徴から連想してライオンだとわかるのである。写実画は連想しなくても、それそのものなので、ライオンを見たことがある以上、ライオンであるとわかるのである。
アスペルガー症候群者が抽象的な概念を理解しにくいという事実は、連想記憶の機能障害で説明できると思う。
アスペルガー症候群でなくとも抽象的概念を理解するのには時間がかかることがある。
抽象的な文章は文字どおりに解釈すると正しい意味をえられない。まず、文字通りの文章の意味から、頭の中で連想がおこる。いくつか想起されたものが思い浮かぶ。その中から、もっとも妥当だと思われるものにたどりつく。
連想記憶が必要なもう一つの理由がある。脳が汎化するから抽象的概念の理解できる。写実的な直接記憶は汎化して記憶することが苦手であると思われる。
直接記憶は曖昧な記憶ではなく、正確な記憶なのである。膨大な量の数字の羅列を記憶することは、曖昧な記憶だと当然難しいだろう。
パーセプトロンの連想記憶モデルではニューロンの回路にパターンを重ね合わせて記憶させることができる。しかし、コンピュータのメモリのように個別に記憶するのではないため、似たパターンを重ね合わせると記憶に混乱が生じる。このため、連想記憶では膨大な数字の羅列のような暗記には向かない。
汎化が苦手な生物ほど記憶が正確である。直接記憶が優位であるアスペルガー症候群では汎化が苦手となり、抽象的理解の困難が生じると考えられる。
アスペルガー症候群の、表現がまわりくどい、という特徴がある。物事の全体を細部まで説明する傾向がある。全体を細部まで表現するというのは、写実的である。要点のみを取捨選択して表現するというのは汎化の能力が必要である。そして、要点のみを取り上げた説明はまさに抽象的である。説明が写実的から抽象的になりすぎると、難解な哲学のように理解困難となるだろう。
結論
エピソード記憶は連想記憶の機能ではたらき、意味記憶は直接記憶の機能で働く。アスペルガー症候群では連想記憶が通常より劣り、直接記憶が優れている場合は、サバン症候群の驚異的な記憶力を示す。連想記憶は抽象的概念の理解に必要な機能であり、直接記憶は汎化が苦手であるため、それが優位な脳では抽象的理解に困難が生じる。アスペルガー症候群では汎化が苦手で、そのため、要点を取り上げた説明ができにくく、まわりくどい表現をするという特徴があることになる。
付属論文
アスペルガー症候群のひとは時間の経過や物事が起きた順序に対する感受性が欠落していることがある。ある出来事と別の出来事を起きた順番に並べるとすると、人間だれでも戸惑うことがあるだろう。記憶が古くなれば当然かもしれない。
ワーキングメモリには時間の経過を感じる機能があるが、連想記憶と関連があると考えられないだろうか?
エピソード記憶では体験した出来事のいつ、どこで、なにがおきた、が明確に生活史に位置づけられる。つまり過去の体験を思い出すと、出来事の順序を完全ではないが記憶している。
それに対し意味記憶では言葉の意味以外の記憶、例えばその単語をどこで覚えたかとか、いつどのような経緯で覚えたのかなど切り捨てられ記憶に残らない。辞書のように単語と意味のみ記憶される。
さて、アスペルガー症候群では連想記憶が劣位で直接記憶が優位であるという仮説だあった。つまり、アスペルガー症候群の性質が連想記憶と直接記憶の仮説で説明がついたといえる。
0 件のコメント:
コメントを投稿